1.学術会議の開催
日本軍「慰安婦」国際シンポジウム
財団は11月30日、韓国近現代史学会と共同で、日帝による植民地支配の暴力性と日本軍「慰安婦」をテーマに、韓国・日本・中国・台湾・オランダの研究者らが参加する国際学術会議を開催した。
韓国をはじめ、日本・中国・台湾・オランダの研究者と共に、北東アジアはもちろん、東南アジア、さらにはオランダ女性に対する日本軍による強制動員の実態を総合的に考察することで、日本軍によるあらゆる形での性的な侵害の実態を明らかにした。さらに、ドイツのラーベンスブリュック(Ravensbruck)記念館の協力を得て財団が主催する「韓・ドイツ性奴隷共同展示会」が同期間に開催されたことで、戦時下の女性への人権侵害を代表する事例として日本軍「慰安婦」問題の深刻さを国内外に知らしめた。シンポジウムでは特に、日本軍「慰安婦」の政策と運営をはじめとする日本軍「慰安婦」の実態を明らかにすることで、真相を正確に究明する上で土台を提供するとともに「慰安婦」動員の強制性と国家の責任を否定している日本の右翼の主張がいかに虚構に満ちているかを証明することに重点を置いた。
また、各国の研究者との連携を通じて一国の歴史を論ずる視点から発生する研究の偏狭さを克服し、人類普遍の価値を求める研究の礎を築く上で大きく貢献した。
「東北辺疆史地研究」国際学術会議
7月20日から21日まで、日本の九州大学で開催された同会議では厲聲と孫進己など中国学者3名やキノネスなど米学者3名をはじめ、日本学者と財団の研究委員が出席した。同会議は東北工程をテーマに、東北工程の関係者や関連する国内外の学者らが初めて一堂に会し、発表と討論を行う意義深い場となった。特に財団側の参加者は、中国の東北工程に対する世界の学界における動向を検討した上で、中国側の矛盾を批判すると同時に誤りの修正を求めた。同会議を契機に財団と中国社会科学院の間で近い将来、学術会議を進めることで合意した。
世界碩学招請「韓・日における独島問題の解決策の模索に向けて」国際学術会議
5月28日、韓国と日本における独特の歴史背景と独島問題との相関関係について戦略的にアプローチすることで、独島問題の解決策を模索するための独島問題に関する国際学術会議を開催した。米国や日本の世界的に著名な学者は発表の際、結論に至るまでの過程や認識において相違を見せたものの、いずれも独島領有権をめぐる韓国の主張を支持したことで重要な意味を持つ。
ヴァン・ダイク教授(米国)、芹田健太郎教授(日本)、ラリー・ニクシュ博士(米国)などが出席したが、参加者はいずれも独島領有権をめぐる韓国の主張がより説得力があり、国際社会の支持を得られるだろうと評価した。特に独島問題の解決策と関連しては、日本が植民地化を進める過程で発生した独島問題の歴史性への認識が必要だと強調した。これからも国際社会で通用する領有権に関する論理を一層強化することで、国際社会に独島問題の本質を正確に伝えるとともに韓国側に有利な研究環境を醸成し、国内外の専門人材のネットワークを強化していく計画だ。
東海地名と海の呼称に関する国際セミナー
東海研究所と共同で4月26日から28日まで「東海地名と海の呼称に関する国際セミナー」をオーストリアのウィーン大学で開催した。今回のセミナーは東海の表記と関連した民間学術行事を支援するとともに、東海表記の正当性の拡大、国際社会におけるコンセンサスの形成、従来の論理体系の深層化および多角化を図るため設けられた。
同セミナーでは東海の表記と関連した歴史学、地理学、国際政治学など関連学問分野からおよそ20編の論文が発表され、さらに16ヵ国から56名の学者が参加した。このセミナーを契機に、関係学者、専門家の人的ネットワークの構築、東海の表記と関連する深層的な研究基盤づくりといった成果を上げた。また、セミナーの結果を記した報告書や学術大会の結果を評価し、政策を立てる上で参考資料として活用することができた。さらに、東海の表記と関連する多様な学問分野の深層研究を通じ、韓国側の論理の強化や関連専門家、学者との人的ネットワークを多角化すると同時に東海表記を拡大する上で長期的な資産として活用できるようになった。
在外韓国人学者 独島·東海ワークショップ(11.30~12.2)
米国の国際政治学·歴史学·国際法分野における韓国人学者およそ20名が出席する中、米ロサンゼルスにおいて、独島·東海ワークショップを開催した。同ワークショップは、韓国の領有権主張を国際社会に広めるためには、まず海外の学界で活動している韓国人学者を客観的な論理で説得しなければならないという趣旨の下に設けられた。
「北東アジアを見る目:国家主義と普遍主義」シンポジウム
東北亜時代委員会と共同で、5月30日プレスセンターで「国家主義と普遍主義に関するシンポジウム」を開催した。今回のシンポジウムは、葛藤と協力が共存する北東アジア地域における歴史経験から未来思考の関係を模索する過程において、根深い国家主義を克服し共存の北東アジア時代を切り開くために設けられたものである。
同シンポジウムでは、政治思想家、歴史家、国際政治理論家、政策実務者、文化専門家、社会活動家など各界の専門家が多く参加し、国家主義と普遍主義の理念から葛藤の現状、北東アジアの未来と協力方策に至るまで、幅広い議論が展開された。特に、国家主義と普遍主義に対し歴史的側面からの考察を行い、北東アジアにおいて国家主義と普遍主義との葛藤がどのような形で表面化しているかを検討する貴重な機会となった。
韓国ーベトナム国交樹立15周年 韓・べ国際シンポジウム
8月20日、韓国ーベトナム国交樹立15周年を記念し、韓国とベトナムの歴史学界が初めて共催した韓国ーベトナム関係史に関する国際シンポジウムを支援した。同シンポジウムは、韓べ両国の交流を高麗から朝鮮後期、日本植民地期、現代に至るまでの歴史的な考察ができた非常に意義深い場となった。
財団発足1周年記念「北東アジア歴史週間」(9.10~9.16)
財団発足の1周年を記念し、9月10日から16日までを「北東アジア歴史週間」と定め、歴史NGO世界大会をはじめ国内外の学術行事や歴史をテーマにしたイベントを集中的に開催した。「北東アジア歴史週間」ではこの1年に進められた財団の活動の成果や課題を顧るとともに、日本、米国、中国など世界およそ20ヵ国から歴史学者と歴史NGO活動家を招待し、歴史に対する正しい理解を通じて国際的なパートナーシップを構築する上で実践可能な対策を模索した。
9月10日、「北東アジアの協力に向けた模索:ナショナリズムと普遍主義の調和」をテーマに開かれた国際学術会議は、去る5月に行われた「北東アジアを見る目:国家主義と普遍主義」シンポジウムを世界的なレベルまで引き上げたもので、北東アジア地域においてナショナリズムがどのように現れているかを検討し、ナショナリズムを越え普遍主義を目指す地域協力体の試みと限界などを学問の見地から考察することで、地域協力の課題と方向性を提示した。
9月12日に開かれた国内学術会議「異なる歴史認識:その責任と民族·領土をめぐる認識」では、北東アジアにおける歴史葛藤や多民族国家の歴史と政策、さらに領土問題に対する国際法的な評価などについて、国内の研究者が進めてきた研究の成果を確認する場となった。
「第二次世界大戦終結の歴史的な意義と今日における含意」をテーマに9月13日に開かれた「アジア太平洋地域第二次世界大戦終結62周年記念国際会議」は、アジア太平洋地域で初めて市民団体が中心となって開催した第二次世界大戦終結を記念する国際行事である。この会議では、第二次大戦及び戦後処理やその過程で表れた各国の歴史葛藤の相違と共通点などを共有することで歴史葛藤を克服し、アジア太平洋地域の協力や和解、平和に向けた実践策が模索された。特に、NGOが参加し、共催の形で進められたため、今後民間が自発的に進める第二次大戦終結記念行事への発展を誘導した点で大きな意味を持つ。
2.領土·領海に関する国際会議への参加
東海呼称に関するIHO(国際水路機関)総会に参加
7月5日、第17回国際水路機関総会に出席し、加盟国の代表団及び専門家を対象に、現地での活動を行った。加盟国の代表団及び関連専門家に東海呼称の正当性を知らしめるとともに、外交通商部、海洋水産部など関連機関の有効な交渉力を側面支援することで、『大洋と海の境界』第4版を刊行する上で「東海と日本海の分離発刊案」という成果を上げた。
これまで進めてきた東海表記と関連する直接的なアジェンダであるIHOの『大洋と海の境界』出版物に対する深層研究を通じて、東海呼称の論理を強固なものにすると同時に、IHO事務局及び加盟国を対象とした長期的なネットワークの構築を図った。
国連地名専門家グループ会合に参加
8月20日から31日まで、IHOや東海表記に関する主な国際機関である国連地名標準化会議及び国連地名専門家グループ会合に出席した。外交通商部、国土地理情報院、国立海洋調査院など政府機関と合同で、東海表記に関する韓国政府の立場を関係加盟国及び地名専門家に伝えた。また、東海の外国語資料集を刊行することで、IHO総会、国連地名標準化会議など関連する国際機関との交渉、専門家との面談、現地での修正対象機関との交渉などに活用した。今後東海表記の外国語資料集を多国語に翻訳し、東海表記の拡大に向けて努力する計画だ。
3.国際学術交流
米スタンフォード大学 ショーレンスタイン・アジア太平洋研究センターとの学術交流
2月26日、米スタンフォード大学と協約書を締結し、2007年から2009年までの3年間、「北東アジア歴史共同研究」を実施することで合意した。この研究は、アジア太平洋5ヵ国における高校の歴史教科書の比較、歴史映画の比較、世論を主導するエリートに見られる歴史認識の比較などを研究することで、下半期に、日本・米国・中国・台湾の研究機関を招待し、研究結果に対する学術討論会を開く予定だ。さらに、スタンフォード大学との国際学術会議を通じて、日本・中国などによる歴史歪曲を認識させる範囲の拡大に大きく貢献すると期待されている。
米ハーバード大学との学術交流協定の締結を推進
海外における韓国古代史の研究及び教育振興事業を支援すべく、米ハーバード大学·韓国学研究所と協約を締結した。米国内に韓国古代史を研究する拠点を設置することで、韓国古代史の研究者の育成を促すとともに、関連教育の機会を増大させる考えである。さらに、韓国古代史に対するハーバード大学の研究活動を活性化することで、韓国古代史を専攻する教授職が設置されるとともに、米国内の韓国古代史研究者の育成、韓国古代史と関連する教育が活性化されると期待されている。
独ゲオルク・エッカート国際教科書研究所と学術交流協定を締結
7月6日、独ゲオルク・エッカート国際教科書研究所との間で、共同研究、学術書籍の出版、学術交流に向けた了解覚書を交換した。世界における教科書研究の中心であるゲオルク・エッカート国際教科書研究所との協定を結ぶことで、日本による歴史歪曲や中国の東北工程の実態を知らしめるとともに、国際的なネットワークを構築する上で貢献するものと期待されている。さらに、ゲオルク・エッカート国際教科書研究所の運営実態と同研究所が主導しているドイツーポーランド、ドイツーフランス間の国際教科書をめぐる協力の経験を把握し、財団活動における基礎資料として活用する計画だ。
4.歴史NGO活動への支援
独島関連市民団体の連合行事「独島歴史紀行」
独島と関連する歴史の現場を訪ねることで、独島に対する正しい歴史認識の拡大を図った。2006年に引き続き、独島歴史紀行事業を推進し、独島と関連する遺跡の探訪以外に、専門家を招待して講演を行うとともに市民団体の活動家を対象にしたフォーラムを開催した。5月15日から18日までの4日間にわたり、23の独島市民団体及び7の類似機関や担当者が参加する中、鬱陵島と独島の一帯で、日露戦争と日本による独島侵犯の過程を研究し、その遺跡を踏査した。
これを通じて官民協力の基盤をつくり、市民団体におけるネットワークの構築や団体運動家の専門性を高め、独島運動の新しい地平を開くきっかけを提供した。また、市民団体が政治志向の運動形態から脱し、歴史探訪など独島と関連した新しい文化コンテンツの開発を促した。今後も市民社会においての体系的な対応能力を強化するため、独島と関連した市民団体間の協力を高める事業を、引き続き推進する方針だ。さらに、団体間の意見及び情報の交流に向けた懇談会、共同会議、連合行事など独島領有権を強固なものにするためのコンテンツ及びプロジェクトの開発に重点を置く計画だ。
歴史NGO世界大会開催
多様な領域で活動している歴史及び独島関連の市民団体間の国内外におけるネットワークを構築することで、東アジア歴史問題に対する国際的な関心を喚起するとともに国際社会の参加を呼び掛けるべく、9月14日から16日まで、財団や歴史及び独島関連の市民団体が共同で「歴史NGO世界大会」を開催した。
世界で初めて開かれた歴史関連の市民団体の世界大会である「歴史NGO世界大会」は模範となる官民協力のモデルを提供するとともに、協力と共存に基づいた歴史認識を共有すべく設けられた。今回の大会を通じてネットワークの構築による情報の共有もさることながら、韓国を世界歴史関連NGOとの交流及び協力の中核と位置づけ、財団と歴史関連NGOの国際的なプレゼンスを向上させた。今回の大会は、36の歴史関連市民団体からなる組織委員会が中心となって進められた。真実と和解、戦争と記憶、神話と歴史、領土と領海など5の分野を中心に開幕国際シンポジウムをはじめ、およそ30の多様なプログラムが市庁広場、光化門一帯で行われ、およそ20ヵ国の120名の外国人参加者を含む延べ10000名が参加した。
5.展示会の開催
米LA(07.5)及びベトナムのハノイ(07.8)で「高句麗特別展」を開催
高句麗文化の優秀性と韓国文化の源泉である高句麗文化の雄大な気性を国際社会に広く発信すべく、米ロサンゼルス韓国文化院と駐ベトナム韓国文化院にて二回にわたり高句麗特別展を開催した。
5月11日から24日まで米ロサンゼルス韓国文化院で開かれた「高句麗特別展」は最近、中国による東北工程や中国に所在する韓国古代史遺物の世界文化遺産登録をめぐる韓・中両国の対立が両国民はもちろん、世界各国の専門家の注目を集めている中、高句麗文化の実体を韓国国内ではなく、米国現地において現地住民に直接紹介する機会となった点で非常に意義深いものとなった。
また、在米同胞にとっては今まで耳にしていた高句麗の代表的な壁画や文化遺産を直接見て感じることができ、韓国歴史と文化に対する自負とプライドを高める場となった。特別展には、期間中およそ2000名が来場し、現地の学生を対象にした校外学習として活用された。さらに、地域コミュニティの観覧要請に応じて会期を週末に延長するとともに常設展示を行った。
8月21日、ベトナムのハノイ韓国文化院展示館で開かれた「高句麗特別展」は韓国ーベトナム国交樹立15周年を迎え、韓国の優れた文化遺産である高句麗古墳壁画を通じて韓国の歴史と文化をベトナムに紹介すべく、8月31日まで開かれた。特に、ベトナム現地では高句麗を題材としたテレビドラマ「朱蒙」が大きな人気を博しており、ベトナムのマスコミはもちろん、一般国民の多くの関心を集めた。展示会には延べ1000名が来場し、ベトナムの韓国古代文化に対する理解を深める契機となった。
韓ー独性奴隷展
2007年、米下院における「慰安婦」決議案の採択を契機に第二次世界大戦期間中に行われた女性への人権侵害を認識し、和解への道を探るべく「日本軍「慰安婦」とナチドイツ収容所における強制性労働」をテーマにした「韓ー独性奴隷展」を開催した。11月15日から30日まで、ソウル西大門刑務所歴史館第12獄舎で開催された今回の展示会はドイツのラーベンスブリュック記念館(Ravensbruck Memorial Museum)の所蔵資料と国内の資料を比較•展示することで、ドイツと日本の姿勢を比較し「慰安婦」問題に対する日本政府及び社会の誠意ある問題解決を呼び掛けるために設けられた。
同展示会では、女性性奴隷被害者の証言や写真、絵、遺物、再現模型、映像などが展示された。さらに展示期間中、16000名以上の来場客が訪問し、日本軍「慰安婦」問題への熱い関心と早急な解決への意思を確認することができた。特に、米下院における「慰安婦」決議案が採択される上で主導的な役割を果たしたマイケル・ホンダ議員が展示場を訪問した。
6.歴史講座
独島教育センター構築事業
財団は、独島問題に関する歴史知識を備え独島守護に強い意思を持つ若い世代の養成を目標とする独島教育センターの構築事業を積極支援した。独島教育センター構築事業の内容としては、全国の大学生を対象に毎週1回、5週間にわたり、独島と韓国領土主権分野に詳しい学者や専門家を招き、理論教育を実施した他、独島を直接訪問し実施研修も行われた。第1期の教育には150名が参加し4月10日から6月1日まで成功裏に行われ、第2期の教育には120名が参加、9月14日から11月1日まで行われた。
社会人のための歴史アカデミ開設
5月24日から7月24日までソウル歴史博物館と共同で「社会人のための歴史アカデミー」を開いた。このアカデミーは歴史授業への参加機会が相対的に少ない社会人に、韓日中の間で議論を呼んでいる東北工程、独島など争点の本質と現状を知ってもらるとともに、歴史に対する正しい理解を図るために設けられた。
このアカデミーは社会人とソウル市民を対象としたが、250名が集まるなど熱い反応を受けており、韓国歴史に対するソウル市民の関心度の高さを確認できた。また授業の後に実施されたアンケート調査では、参加者の90%が満足していることがわかった。
専門家のための東アジア史歴史アカデミー
6月8日から9月20日までの毎週木曜日の夜、全国の歴史教師、約50名を対象に「東アジア史歴史アカデミー」を開いた。「東アジア史歴史アカデミー」は日本による独島領有権の主張、中国の東北工程など韓国を巡る歴史争点に対して客観的視点に立った歴史教育が行われるよう、歴史教師に専門知識を提供するという趣旨から設けられた。
計8講からなる同講義では、東アジア歴史の主な事件を中心に近・現代史においての重要な争点に対して専門家の理解度を高めるとともに、歴史を教える現場での経験を話しあう討論の時間も設けられた。この講義は開港前後、日本植民地時代、現代、東アジアなど大きく4つの時期に分けて構成された。